Superb Garbages 2

千野純一(chinorin)のはてなダイアリーの続きです。

電子回路の基礎の基礎[番外]:よく見かける記号とパーツ

 

  • 可変抵抗
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  • 抵抗値を変更できる抵抗器です。上図のように横から矢印が刺さってる記号のほか、矢印がばっさりと袈裟斬りしてるやつも可変抵抗です。
  • 変更できる値の範囲は、例えば「10kΩの可変抵抗」ならおおむね0Ωから10kΩまで。スペックには抵抗値のほか、操作の具合と実際の抵抗値の変わり具合の関係性によってAカーブ・Bカーブ・Cカーブというのがあって、Aは最初はあんまり値が変わらないけど後半一気に追いつくタイプ、Bは直線、CはAの反対です。オーディオのボリュームについて可変抵抗を使用したとき、人間にとっての音量の推移としてはAカーブが一番自然で線形に聞こえるとのこと。
  • 物理的には、使うときに軸を手で回すタイプ(ポテンショメータ/ボリューム)と、基板に直付けされてたりして組み立て時やメンテ時だけ手やドライバで回すタイプ(半固定抵抗/トリマポテンショ)、それからツマミを前後に滑らせるタイプ(これもポテンショメータって呼ぶと思うけど、フェーダとか言うかも)なんかがあります。
  • ちなみにゲーム機のコントローラについてる前後左右に倒れるアナログスティックとか、スロットル、アナログトリガーなんかも可変抵抗の仲間です。
  • コンデンサ
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  • 別名キャパシタ。電圧をかけると電気を貯めて、やめると電気を放出する超絶便利部品です。次の記事はこれをやる予定。
  • コイル
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  • 別名インダクタ。磁場を形成して電流の変化に抵抗したりするよくわかんない部品です。w 抵抗、コンデンサ、そしてコイルの3つを世界三大パッシブ(受動部品)と呼ぶとか呼ばないとか。
  • ちなみにトランスっていうのもコイルの仲間というか2つのコイルを並べたような部品で、電圧を変換(昇圧/降圧)したり絶縁された別の電圧を作り出したりするのに使います。
  • スイッチ
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  • 人間が繋いだり押したりします。
  • ダイオード
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  • 原則、アノードからカソードの方向(矢印に見える方向)にしか電気が流れないので、回路に一方通行を作ることができます。LED(発光ダイオード)はついでに光ります。(というかLEDは主に光らせるために使いますが、ついでに一方通行ができてしまいます)
  • トランジスタ
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  • 外側を囲ってる◯は書かないことも多いです。NPN型とPNP型の2種類があり、ベース(上記記号の左の端子)へ流す電流の量によって、コレクタ(上の端子)~エミッタ(下の端子)間を流れることができる電流量を操作する、という部品です。
  • トランジスタと似たようなやつで上下からの線が斜めじゃなくて90度に曲がってくるJFETとか、さらに真ん中へんの縦線が実線と破線の二重線(右から左への車線変更はOKだけど逆は違反のやつ)だったりするMOSFETとか、これらは電界効果トランジスタっつって電流じゃなくて電圧で操作するやつで、なんか現代的な雰囲気があります。今ではごく一般的な部品ですがたぶんこのブログではやらないんじゃないかな? となんとなく。
  • 電圧計と電流計
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  • この記号、小学校の理科とかで見た気がするねー。電圧計は並列に繋ぎ、電流計は直列に繋いで使います。直列に繋ぐと分圧、並列に繋ぐと分流が起きてしまうため、それぞれ何を測ろうとしてるのかよくわかんなくなります。あるいは、電圧計はある地点とある地点の電位差を測るもの、電流計はその地点の電流量を測るもの、と言えばわかりやすいかな?
  • その他よく見かけるやつ
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  • 左のはクリスタルです。これを繋ぐための端子にXTLとかXtalとか書かれてることがありますが、後者はXmasみたいなノリでしょうか。ウンMHzとかのパルスを出力して、CPUとかが動作するためのクロック周波数を作ります。時計界隈ではよくクォーツって呼ばれてるやつです。ちなみに時計では32768Hzのやつを使うのがスタンダードらしい。なんでなん?
    (11/24追記)左のは発振子で、↑で説明しているクリスタル発振子だけでなくセラミック発振子もこの記号を使います。発振子は単体だとやや不安定なのでコンデンサやらなんやらを一緒にまとめた発振器という非常に紛らわしい名前の部品も存在しましてそちらの記号は丸の中に波線(~)です。
    なお圧電素子(いわゆるピエゾ)も発振子と同じ記号?を使うみたいなのですが、これはどうしてなんだぜ⋯? 機能が真逆な感じがなんとなくするよね。例えば440Hzで発振した波形を圧電素子に流すとラの音が出るわけでありまして。
    ⋯ちょっと調べてみたら、このあたりの部品が発明されたごく初期は圧電素子を水晶で作っていたらしいという文章を見かけた。その名残なのかな。
  • 右のはオペアンプです。三角形を縦に貫いてるのはオペアンプを動作させるための電源で、説明上不要な場合は省略することがあります。プラス(非反転入力と呼ぶ)とマイナス(反転入力と呼ぶ)にかかる電圧の差をどーたらこーたらする、まーとりあえずトランジスタの上等なやつって思っとけばいいと思います。とにかく精度の高い増幅をしたいときによく使われるんじゃないかな。なにしろアンプなので。
  • ちなみにMinecraftでおなじみのコンパレータオペアンプの仲間で、非反転入力の方がでかければHIGH、そうでなければLOWを出力するやつなんですが、なんとオペアンプと同じ記号を使います。(中身の仕組みもだいたい一緒らしい)
    (11/24追記)オペアンプは+入力と-入力の電圧の差を増幅するわけですが、利得はアホみたいにデカいので無限大とみなして差し支えないらしいです。つまり、+入力とー入力の差をみて、
     ① +入力の方が大きければそれを無限大増幅
     ② ー入力の方が大きければそれを無限大減衰
    そのどちらかの値が出力される電圧になります。上限下限は電源に依存するので、例えば [Vcc: 5V / GND: 0V] の単電源で動作しているのであれば、①は5V、②は0Vというデジタル回路において非常に扱いやすい値が得られるというわけ。オペアンプのこのような動作のみに着目し、機能を絞って効率化・高速化を図ったものがコンパレータです。

 

  • 最後に(つってもそこそこ長いけど)トリビア的なものを。ダイオードにそっくりな記号がたくさんありまして、そういうのを集めてみました。最初のふたつはまあまあ見かけるかな。

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  • ショットキーバリアダイオードは、普通のダイオードに比べて順方向における電圧の損失が少なく、オフ状態からオン状態になるまでの時間が超短いという特徴を持ったダイオードです。高速にスイッチングする回路でこれとかコイルとか使ってあれやこれやすると連続的な電気になったりするっぽい。コイル関係ってほんとわかんねーよな。
  • ツェナーダイオードは、逆方向にかけた電圧がある一定の値になると急に決まった量の電圧を漏らし始める「降伏現象」というのを利用し、その「決まった量の電圧」を安定して得るための部品です。順方向においてはわりと普通のダイオードで、基本的にはわざと逆方向に設置する感じ。
  • ショットキーバリアダイオードとツェナーダイオードの記号ってほんとにそっくりなのですが、三角形の上にくっついてる棒みたいなのをよく見てください。それぞれSchottkyの頭文字のS、Zenerの頭文字のZっぽくなってます。そんなんわかるかい!! ちなみにどちらも人名です。ショットキーさんとツェナーさんに感謝しましょう。

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  • バリキャップ、別名ラクは本当にダイオードなのに通常コンデンサの仲間として扱われる変なやつです。よく見ると三角形の上に乗ってるのはコンデンサの記号ですね。逆方向に電圧をかけると静電容量が生じて、電圧を高くしていくと静電容量が減っていきます。なんか増える方が良かった感じがするよね⋯。順方向は普通のダイオードです。
  • 江崎ダイオードは別名トンネルダイオード。江崎は「えさき」と読んでください。我らがノーベル賞物理学者・江崎玲於奈博士が発明した、いわゆるトンネル効果を利用したダイオードであります。順方向だとかかる電圧と電流の比が3次曲線みたいな形になり、逆方向だと低電圧でもすーぐ降伏(ツェナーダイオードを参照)してやたら漏らしまくるという変な特性があります。この記述失礼じゃないですかね。

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  • プログラマブルユニジャンクショントランジスタは、ダイオードの形してんのにトランジスタって言っちゃってるじゃん! まあとにかく、左上にちょろっと出てるのがトランジスタで言うベース的な端子で、そこに電圧をかけるとダイオードっぽい部分の電流が通れるようになって、電圧をかけるのをやめても流れ続けることができて、その電流が止まるとまた左上の端子に電圧をかけるまで流れ始めることができなくなるとかそんなんだったと思う。
    (11/24追記)↑の説明でだいたい合ってますが補足。そのベース的な端子を「ゲート」と言いますが、プログラマブルユニジャンクショントランジスタはゲート端子にマイナス側の電圧(デジタル出力のLOWとか、GNDに落とすとか)をかけると作動します。
  • サイリスタは記号だけでなく使い方もプログラマブルユニジャンクショントランジスタとそっくりなやつです。電圧じゃなくて電流で操作するとかそんなん。
    (11/24追記)↑こちらの説明は間違っています。アノード-カソード間の電流がある限り導通状態を維持するのはプログラマブルユニジャンクショントランジスタと同じですが、サイリスタはゲート端子にプラス側の電圧(HIGHや単電源のVcc等)をかけることで作動します。

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  • トライアックサイリスタの仲間で、これは⋯⋯逆阻止3端子サイリスタを逆並列接続して双方向化したものと見なせるんだそうです。もうこのへんになると全然意味わからん。ただのコピペです。
  • ダイアックは、トライアックとセットで使うことが多いらしいんですがこれも何なのか全然知りません。尻つぼみな記事だなあ。w
  • (10/9追記)なるほどー。サイリスタを双方向にすることによって交流に対応させたのがトライアックで、ダイアックは電圧と電流の比のグラフが独特でトライアックを起動するのにすんごいぴったりなんだそうです。