Superb Garbages 2

千野純一(chinorin)のはてなダイアリーの続きです。

やっとオペアンプがだんだんわかってきた

・コンパレータはこのへんの勉強を始めてわりとすぐに理解したんだけど、オペアンプほんと意味わかんないよね。

・まず、巷でされている説明とか考え方のモデルを作るのがへたくそなんじゃないかなあ。トランジスタ類もそうだけど、こういうのは単純化モデル層と仕組みや構造を含めた厳密に正しく理解する層に分けて、違う説明をするべきなのではないか。PNPとNPNでエミッタとコレクタが逆であること、またはFETのPチャネルとNチャネルでドレインとソースが逆であること、物理的、論理的、色々な面においてそれが正しいのかもしれないけど、初学者に対してそのような説明をするべきではない。⋯と◯ぬまで言い続けるつもりだ。

・だいぶわかってきたから個人的にはもういいといえばもういいんだけど、オペアンプの説明についてまずいところを2つ指摘したい。

・ひとつは入力抵抗の説明。オペアンプの入力抵抗は非常に高いので、例えば非反転入力の直前までやってきた電流はオペアンプ側に流れ込むことはできない。なのでここの電流はゼロ、ってところから計算を始めるんだけど、入力の直前までやってきた電流はどこへ行っちゃうの? さらに反転増幅回路の場合は出力からの帰還電流もそこで合流するわけじゃん。オペアンプに電流が入らないということは、より電圧が低い入力側に⋯⋯⋯あ、違った、出力は反転してるから、より電圧が低いのは帰還側か。ということは帰還の経路は結局何してんの? 全然帰還じゃなくて逆に入力電流を出力側に回してるように見えるが、それが増幅ってことなの? は? 自分でも何言ってんのかわからん。

・で、もういっこはイマジナリーショートよ。反転入力と非反転入力は短絡されているとみなすとかなんとかってやつ。これほんと言ってることがめちゃくちゃなのよ。だとすると、理想的なオペアンプは絶対に何もせず電気も全く通らないただの石になってしまうじゃないか。

・理想的なオペアンプを考えると、反転入力と非反転入力は短絡とみなすそうだから実際に短絡すればそれが実現するじゃん? で、短絡ってことは反転入力と非反転入力に電圧の差はぴったりゼロということだから、差分を出力するはずのオペアンプは何もせずただ基準電圧を出力する。つまり、2つの入力を短絡し、オペアンプをまるごと取り除いて出力があったところをGNDにでも繋げばそれが理想オペアンプの等価回路である。って、そんなわけあるかいな。何のために俺は30円もの高い金出してオペアンプを買ったのよ。

理想オペアンプとその等価回路?

・仕組みや論理的挙動について、なるべく正しくあろうとしながら説明を試みた結果がこれなんですよ。中途半端に正しさを保とうとしても結局何も正しくなくなるわけ。

・そこで思い出すのが技術者の話を真に受けたネーミングの話な。USB 3.1以降の迷走なんかが近年の代表的なものだけど、技術者が正しくあろうとする発言に対してマーケティング関係の人は耳を貸すべきではない。技術者とマーケティング関係の人を両方兼ねてる人は技術者としての自分に対して耳を塞げ。世界は第二のスティーブ・ジョブズを待ちわびているというが、彼は常に正しくあろうとしたか? 答えは明確にNoだ。

・第二のスティーブ・ジョブズを目指している人や求めている人は、以下のことを肝に銘じていてほしい。商品名や素人への説明に関して技術者の意見を聞かないこと。新しい技術を試しているだけの技術者を警告なしでいきなり逮捕しないこと。この2点なくして第二のスティーブ・ジョブズはあり得ない。

・で、何の話だっけ? ああ、オペアンプね。分圧による仮想GNDじゃなくて実際に負電圧を発生させるとき、電荷が貯まったコンデンサが放電して元に戻るときの力を利用して電気を引っ張るの面白いよね。え? 全然オペアンプの話じゃない? いや、負電源ってオペアンプ以外に何に使うのさ⋯。


オペアンプとは関係なく、やっとはっきりわかったことメモ:デュアル軸ポテンショメータやデュアル軸ロータリーエンコーダに適合するノブは、楽器系流通において「スタックノブ」あるいは「デュアルポットノブ」という名前で出回っている。

・つまり楽器界隈ではデュアル軸可変抵抗のことを「デュアルポット」と呼ぶようだ。

・いやまじで、電子部品界隈ではデュアル軸用のツマミが全然売ってねーのよ。まー部品本体もほとんど見かけないんだけど、実は去年勢い余ってロータリーエンコーダを個人輸入したのにツマミがないので使ってないという。