Superb Garbages 2

千野純一(chinorin)のはてなダイアリーの続きです。

CPUの動作電圧の歴史について軽く調べた

  • 我々(?)が普段触ってる組み込み系MPU。旧来の8ビットのはだいたい5Vとかで動いてて、最近のARM系とかのは3.3Vで動いてるものが多く、ものによっては1.8Vとか、より低い電圧で動作するものもある。周波数とか落ちるけど。
  • この3.3Vというのは、話によると、まず低電圧のマイコンの需要があって、新機器のHIGHをそのまんま旧来の5V機器に入れても同じくHIGHとして認識する電圧として3.3Vが選択された、ということらしい。
  • それがどれくらいの時期のことなのかはわからないが、PCの歴史を見ればそれもわかるかもしれん。ということで歴代インテルCPUの動作電圧について軽く調べてみた。


  • 原初の時代⋯⋯インテル8080あたりは+12V、+5V、-5Vの3種類の電源が必要だったらしい。そりゃ不便だ⋯。それが8085でようやく5Vのみで動作するようになり(最後の5はその5Vに由来する。でも結局内部で12Vとか作るらしくてなんか草)、8086、80286、80386もとい初代i386くらいまでは5Vとのこと。ちなみに某アカウントで「386とは?」というアンケートを採ったら「CPU」っていう回答が100%だった。386といえばオペアンプでしょーが。
  • なおこの頃、サードパーティー製の互換CPUではより低電圧で動作するものもあって、例えば8086互換のNEC V30HLは5Vのとき16MHz、3Vでは8MHzで動作したらしい。このCPUはPC-9801シリーズの初期のラップトップ機に搭載されている。
  • 本家86系では、初めて3.3Vで動作したのがi386SL。つまり3.3Vが採用されたのは386~486過渡期くらいということなので⋯⋯i386が1985年、i386SLが1990年、i486DXが⋯1989年!? 386SLって486の後だったか。で、初期のi486は5Vなんだけど、486系で初めて3.3V動作が可能なi486SXが1991年。1990年以降、順次3.3Vに対応していったみたいね。なお486系のオーバードライブプロセッサ(なつかしー)は全て5V。
  • 互換CPUのAm486シリーズとかは本家に倣って5Vか3.3Vが採用されてる。それは当然として、我らがCyrixはね、例えばCy486DX2は3.45~4Vとかで動く。Cyrixのこういう往生際の悪いところが好きだったなあ。あと、この頃TIも486互換CPUとか出してたのね。知らなかった。
  • 1993年に満を持して登場したPentiumは初期版(60/66MHz)が5Vで、後に発売された90MHz版が3.3Vで動作した。この90MHzっていう数字は印象的で覚えてるわー。その後1994年に発売されたiDX4(型番は80486DX4)は突如3Vを採用している。Pentiumに3.3V版が出たのも消費電力が問題になったのが理由みたいだし、電圧がスペックとして重要だと考えられ始めたのがこの頃なのかな。1995年に発売されたPentium Proは3.3V。
  • その後、MMX Pentium(1996年)で2.8Vを採用。一方AMDK6-2あたりは2.2~2.4Vで動作したらしい。Pentium II(1997年)の初期版も2.8V。このあたりから低電圧版みたいなのが出てきて、モバイル用Pentium II(1998年)やCeleronでは1.6Vで動作するものもある。
  • 後継のPentium III(1999年)は、初期版が2.0V。さらに第二世代では1.6~1.75V、第三世代では1.45~1.5Vまでコア電圧が低下。そしてついに超低電圧版PentiumIII(2001年)では0.975V(バッテリーモード時)と、1.0Vを下回る。
  • Pentium4(2000年)関連で電圧についてやや詳しい記事を見つけた。「0.1Vから1.85まで5種類の電圧が定義されて」るらしい。が、初期のPentium4は定格が1.55V? このへん名前が似てて検索がちょーめんどくせえ。調べるのがつらくなってきた。
  • しかもこの後Coreなんてめちゃめちゃ検索性の低い商品名が続くじゃねーか! やめやめ。インテルで3.3Vが採用されたのは1990年でした。おわり。


  • 最近は、デスクトップなら1.8Vあたりで動いてるのが普通らしい。
  • あと、とりあえずいま自分が使ってるCPU(Core i7-1160G7)の動作電圧くらいは調べておこうと思ったが、動作電圧ってほんとどこにも書いてねーな。消費電力はどこにでも書いてあるんだけど⋯⋯電圧ってなんか秘密にでもしてんの? そんなことってあるのか?