Superb Garbages 2

千野純一(chinorin)のはてなダイアリーの続きです。

ちのプレクサ回路爆誕?

・けっこう前のことなんですけど、チャーリープレクシングという技を知ったんです。どこの誰だか知らんが(いや、米Maxim社の人らしいが)チャーリーさん天才かよ⋯。

・↑こんなやつ。回路図を美しく書くのはなかなか難しそうだ。まず出力ピンをいくつか用意する。上の例では4本、A~Dとしている。全てのピン間においてLEDを逆並列に接続し、マトリックス的に配置する。

・A~Dのうちのひとつをソースとし、LEDのVFよりちょっとだけ大きいくらいの電圧、つまりLEDがギリギリ1個光るだけの電圧をかける(電流も適宜調整する)。それとは別のひとつにLOWを出力する等してシンクとする。関係ない他のピンはすべてハイインピーダンスにする。

・すると、この12個のLEDのうち、ソースピンからシンクピンまでLEDが1個だけの最短経路にあるそのLEDのみが光る(その電圧降下により他のLEDは光らない)という仕組み。

・例えば左上のLEDを光らせたいときは、Aをソース、Bをシンクにする。よく見るとAからBに至る経路は他にもあるが(例えばA→左列上から3こめ→中列上から2こめ→Bなど)電圧が足りないのでそれらの経路にあるLEDは光らない。

・こんな単純な仕組みで、用意したピンから2つを選んだ順列の数だけLEDを制御できるというわけ。つまり、
4ピンだと _4P_2 = \frac{4!}{(4-2)!} = \frac{24}{2} = 12個(上の回路図の通り)
8ピンだと _8P_2 = \frac{8!}{(8-2)!} = \frac{40320}{720} = 56
16ピンだと _{16}P_2 = \frac{16!}{(16-2)!} = \frac{20922789888000}{87178291200} = 240

・なお、基本的には同時に2つ以上点灯するのはやめといた方がいいので、複数点灯が必要なときは毎度おなじみダイナミック点灯をしなければならない。高速で切り替えて人間の目にはあたかも同時に光ってるように見えるってやつね。

・ダイナミック点灯が1列ずつとかじゃなくて1個ずつということは、たくさん光らせるとちらつきかあるいは暗さが問題になりそう。その点で用途を選ぶかもしれんな。


・俺も自分の名前がついたプレクサ回路を発明してえなあ~と思ったので考えてみたよ! 電圧の変化だけでマルチプレクサを実現する回路で、ちのプレクサ回路とでも呼んでくれたまえ。

・電圧の変化を見てスイッチングしたいなら、まず考えられるのが抵抗とコンパレータをずらっと並べることだが、それよりは部品点数を少なくできる。と思う。

・各ダイオードのVFは仮にちょうど0.7V、各XORのHIGH電圧はちょうど2.0Vとして考える。XORの上の入力をA、下の入力をBと呼ぶことにする。XOR1は入力AをHIGHに固定しているため、入力BのNOTとして動作する。XOR4は入力BをLOWに固定しているため、入力Aのバッファとして動作する。

・可変抵抗でダイオード側にかける電圧を上げていく。0Vから2.0Vの手前まではXOR1の入力AのみHIGHで、それ以外は全てLOWなので、PORT1だけがHIGHとなる。

・2.0Vになると、XOR1の入力Bと、XOR2の入力AがHIGHとなる。ダイオードの電圧降下のため、それより下は全てLOW。結果、PORT1はLOWとなり、PORT2だけがHIGHとなる。

・2.7Vになると、電圧降下がダイオード1個分までならHIGHとなる電圧なので、さらにXOR2の入力BとXOR3の入力AがHIGHとなる。結果、PORT2はLOWとなり、PORT3だけがHIGHとなる。

・さらに上げていくと、同じように3.4VでXOR3の入力BとXOR4の入力AがHIGHとなる。結果、PORT3はLOWとなり、PORT4だけがHIGHとなる。

・電源が5Vの場合、一応理論的にはダイオードとXORを2個ずつ増やすことによって、0V、2.0V、2.7V、3.4V、4.1V、4.8Vの6分岐までできる。

・でまあ⋯⋯ブレッドボードで組んでみたけど、全くうまくいかない。w おそらく、ダイオードの電圧降下が電流値や温度によって大きく変化することがその主な理由だと思う。分流するから安定しないんだろう。

・ たまに発振するのが不可解だったんだけど、これは電圧が閾値を超えるとゲートの関係で電流が大きく増え、ダイオードのVFが増加→電圧降下が大きくなり電圧が閾値を割り込む。すると電流が減ってダイオードのVFが減少→電圧降下が少なくなり電圧が閾値を超える⋯⋯っていう発振だったのかな?

・というわけでだめでした。素直に抵抗とコンパレータを並べよう。あるいはレベルメータでも同じことができると思うが、レベルメータの中身ってきっと抵抗とコンパレータだよね⋯。

・あ、いや、要はダイオードの電流が変わらなければいいんだよな? ということは⋯(つづくっぽい)