Superb Garbages 2

千野純一(chinorin)のはてなダイアリーの続きです。

インピーダンスを完全に理解した①~インピーダンスマッチング

・要するに、送信側と受信側のインピーダンスを近づけるインピーダンスマッチングと、逆に遠ざけるロー出しハイ受け。この2つの概念を理解すればだいたいOKなんだろうきっと。反射ノイズとかもこのへんで説明されてる問題だし、リアクタンス関連はインピーダンス複素数に拡張するだけっぽいし。

・さて、インピーダンスについてはまずどこまで厳密に考えるべきかっていうのがあって、複素平面上のベクトルとして扱うのが一番正しいんだろうけど、ほとんど直流みたいなのとか、単電源で可聴域くらいの周波数とかであればそこまで厳密に考える必要なさそうなのよね。たぶん。

・なので、インピーダンスを普通に実数として扱うことにするのであれば、インピーダンスというのは単に電圧と電流の比のことです。そしてそれは実質的に抵抗値のことなので、インピーダンス=抵抗という意識で説明します。


インピーダンスマッチングという概念があります。電気信号を送受信する際、送信側と受信側のインピーダンスを同じくらいにするという調整なのですが、これは受信時のダイナミックレンジを最大限確保したいとか、反射波をなるべく少なくしたいという欲求に対して行うみたいです。ダイナミックレンジっていうのは何かを数値で見たときの上限と下限の差、つまり取り得る値の幅のことです。反射波は次の経路に入れない要素が電源側に戻って行ってしまう現象ですが反射については、このシリーズ?の最後とかに説明できたらしよう。

・↑最も単純な送受信のモデルです。超伝導が起こらない限り送信側にも受信側にも必ず抵抗成分があります。その抵抗値をどのような値にすれば情報の欠落がもっとも少なく済むか(情報を過不足なく送れるか)という問題なんですけどもう答え言ってるんだからこれ以上説明することなどなかろうと思いつつ⋯。

・でもここがちょっと面白かったところなので理屈をふんわりと説明します。この回路は分流をしないのでどこを見ても電流値は同じはずです。R1とR2の抵抗値が違えばかかる電圧も違った値になり、その結果消費電力が変わります。受信側では消費電力を大きくした方が受け取れる情報が多くなるみたいなので、R2の消費電力がどのような値をとるのか計算してみます。

・電力をP(単位はワット)、電圧をV、電流をI、抵抗をRとします。電力は電圧と電流の積なので

 P = VI

電圧はオームの法則により  V = RI で、知りたいのは受信側の消費電力なのでRはR2としてこれを代入すると

 P = I^{2} \cdot R_{2}

さらに回路全体で一定の電流値もオームの法則により  \displaystyle I = \frac{V}{R} で、このRは直列接続したR1とR2の合成抵抗なので

 \displaystyle P = \Bigl( \frac{V}{R_{1}+R_{2}} \Bigr) ^{2} \cdot R_{2}

例えば電源が10Vで、R1が3Ωのとき、この式はこんな値をとります。

X(横軸)はR2の抵抗値、Y(縦軸)はR2の消費電力

・つーことで、R2の消費電力が最も大きくなるのはR1=R2のときだそうで、これがインピーダンスマッチングです。これ以上は長くなるので分割することにして、ロー出しハイ受けについてはまた次回。つづく!