Superb Garbages 2

千野純一(chinorin)のはてなダイアリーの続きです。

インピーダンスを理解したい&マイコンについての説明2

  • インピーダンスとは、ある回路全体における「交流にとっての抵抗値」である。オームの法則により導かれる数値(電圧÷電流)と、コイルによって発生する誘導性リアクタンス、それからコンデンサによって発生する容量性リアクタンスを全て足したもので、単位は直流抵抗と同じΩ(オーム)。
  • 「ロー出しハイ受け」という言葉がある。何らかの信号や波形などを扱うとき、それを発生させる側の回路はインピーダンスをより低く、それを受け取る側の回路はインピーダンスをより高くしましょう、といった意味だ。
  • インピーダンス=抵抗。ということは、低いところから出して高いところへ入れると減衰してしまって不利ではないか? ⋯と思ってしまうのだがそうではない。
  • 波形として運ばれてくる情報は電圧の強弱で表現される。発生回路と受け取り回路を直列に繋いだ回路全体を考えると、電圧は分圧され、抵抗値の高い部分により高い電圧がかかるというのはオームの法則が示す通りである。
  • なので、高いインピーダンスをもって波形を受け取った方が、発生した情報をロスなく検知・利用することができる⋯⋯のか?
  • 正しいのかどうかは知らんけど、こんな風な説明もできるみたい:交流は波動なので、何もないところは伝わりにくい。「波動を媒介する何か」が必要で、その濃度のようなものがインピーダンスだと考えてみる。その中では確かに電流は減衰するが、波動が持っている情報はより伝わりやすくなる⋯⋯のか?
  • PAやスピーカー等、情報を受ける側のインピーダンス値が高くあるべき理由はもうひとつあって、インピーダンスが高い=多くの情報を取り出しているということ。なので一般に、インピーダンスの高いスピーカーの方が高精細な傾向がある⋯⋯のか?
  • ほんとかなあ。どーにも直感的じゃなくて、どういう理解をすれば正しいのかよーわからん。リアクタンスが交流を妨げるってところまではなんとなくわかるんだけどねえ。


  • ワンボードマイコンというのはつまり何なのか、別角度からの説明。
  • つまりパソコンのサブセットなんですよね。「パソコンから処理系だけを抜き出したもの」という説明がけっこう近いものをイメージできるのではないか。
  • パソコンの場合、入力(キーボード、マウス等)、出力(ディスプレイ、プリンタ、サウンド等)、それからOSやある意味アプリケーションソフトについても、ある程度決められたものが最初から搭載されていたり、出来合いのものを使うのが普通です。
  • マイコンの場合それらは必須のものではなく、目的に応じて必要なものだけを用意します。たいていOSもないので、自分で作ったひとつのプログラムを単体で動かします。何かのしきたりみたいなものに従う必要も基本的にはありません。
  • また、PC界隈では扱う習慣がないアナログ寄りのデバイス*1と相性がよいことも重要な点でしょう。
  • 例えばキッチンタイマーフルHD液晶やキーボードは不要ですよね。いくつかのボタンと、3桁くらいのセグメントLCD*2 *3と、時間がきたら鳴るブザー的なものがあれば充分でしょう。
  • それでいて、何かのデバイスを「使ってはいけない」という決まりもないので、キッチンタイマーフルHD液晶やキーボードをつけることももちろん可能です。何かそれを生かす素晴らしいアイデアがない限り邪魔で仕方ないでしょうけど。
  • 最初からひととおりぜんぶつけといて、使わない機能は実装時に省くというアプローチもあるかもしれません*4。が、そのためには当然それらを接続する仕組みをぜんぶ内蔵しなければならないわけで、小規模な組み込み案件においては無駄が多そうな気がします。マイコンは、より単純でより安価、より省スペースでより省エネ(電池で動かすことも多いし)な実装が好まれがちです。たぶん。
  • 「たぶん」というのは、近年マイコン界隈でもM5StackシリーズやWio Terminalのように液晶画面などそれなりのマンインターフェースを最初から搭載し、見た目も基板むき出しではなくきっちりした綺麗な筐体で覆われたものをちょくちょく見かけるからです。
  • そういうのを触ってるとマイコンともシングルボードコンピュータともまた違った流れを感じるのですが、全て中国発というのが少し興味深いんですよね。ITやIoTにおける何か大きな流れを示しているような気がしてなりません。

 

  • 最後に。現在のわたくし個人としては、開発の面白さを マイコンシングルボードコンピュータ*5>PC だと感じております。
  • なぜPCよりマイコンの方が面白いか。そこに直結している最大の理由が制限の多さです。今のPCのソフト開発は制限がない*6ので自由過ぎて何も作れねーんだ。「この部分はここまでしかできませーん」と言ってくれた方が自分がこれから作るものについてのイメージが湧きやすいし、その制限自体が制作においてとても役立つヒントになったりする。自由過ぎる環境で何かを作れるのは一握りの天才だけだ。我々凡人においては制限がクリエイティブを生むのである。よく覚えておくがいい。
  • それから前にも言ったけどデジタルとアナログの境目の部分をコントロールするというのがなかなか新鮮で、一筋縄ではいかないのがやっぱ面白いのかなあ。PCって命令すれば言うこと聞くんだけど(マイコンも聞くんだけどw)、自分で組んだ電子回路はそうはいかない。試行錯誤の毎日の中で、その試行錯誤が直接目に見えるというのは達成感が得やすいかもしれないね。
  • 色々手間がかからないと意味ないからHONDAは悪*7とか今更そういうことを言うつもりもないんだが、上に書いた液晶画面が最初から載ってるマイコンをはじめ、32ビット化の流れとか、Wi-FiBluetoothの標準搭載など、制限が徐々になくなってきた感じがするのはちょっとだけ心配だ。AVR&Arduinoのようなある意味牧歌的な仕組みがいつまでも残ってるといいんだけどね。

 

  • 次回は「マイコンを使って、物理的にどのようなことができるのか」を説明してみたい。ほんとにできるんだろうか⋯。

*1:温度センサとか、圧力センサとか、超音波センサとか、光センサとか……以上はぜんぶ入力デバイスだけど、出力デバイスで言うとモーターとか

*2:7セグのような、いくつかの「あらかじめ決められた形のカタマリ」しか表示できないような液晶パネル。例えば電卓やデジタル時計の表示器はだいたいこれ

*3:一応「7セグ」について追加説明:「セブン・セグメント」の略で、電卓やデジタル時計の数字を表示するためのあれのこと。ひとつの数字ごとにつけたり消したりする棒が7本あるでしょ? 数えてみてください。アルファベットも表示できる14セグとか16セグとかもあるけど日本ではマイナーかも

*4:Raspberry Piなど、いわゆる「シングルボードコンピュータ」の立場はどちらかというとそっちかも

*5:触ったことねーけど

*6:いや、実際にはあるし、それよりも自分の技術的に手が届く範囲の方が断然狭いんだけど、ということはつまり自分ができることは絶対にぜんぶできるでしょ。その点について自由があり過ぎると言ってる

*7:バイクの話です。自分HONDAのに乗ってたんだけど、SUZUKI乗りの人がよくそんなことを言ってた