Superb Garbages 2

千野純一(chinorin)のはてなダイアリーの続きです。

0時頃に起床。眠った気がしない。風呂に入り、できるだけちゃんとした服を着て、CD-Rを3枚焼き、そのうちの1枚を持って出発。途中のコンビニでビールとおにぎりとタオルを買い、南の方へ歩いた。どんな道を辿ったのかはよく覚えていないが、気づくと多摩川の土手を西の方に歩いていた。階段があったのでそこに座り、ビールを開け、おにぎり(こんぶ。普段俺はこんなの食わない)を食いながら声を上げて泣いた。
空が白み始めたので、河川敷に降りて、今度は東の方へ歩いた。消波ブロックみたいなコンクリートの上に座り、いつまでも川の流れを見ていたけれど、これでは埒が明かない、先に進めないと思い、やっとのことで懐からCD-Rを取り出した。あいにくこの間買ったゲーテはまだ読んでいなかったので、ジャケットにはお礼の言葉と、謝罪の言葉だけを書くことにした。タオルに包もう(タオルと一緒に流すつもりだった)としたとき、メディアだけがケースからこぼれ、コロコロと転がり、数メートル先でぱたりと倒れて止まった。それはもしかしたら、タオルじゃなくて浴衣とかの方が良いとかそういう意味だったのかもしれない。でも、そのCD-Rが、データ面を上にして止まったことが「私たちの死骸を捨てては駄目」と言っているみたいに感じて、そしたらもうそれを捨てることはできなくなってしまった。CD-Rを懐にしまいながら、もう一度声を上げて泣いた。俺が死んだら、俺の死体と一緒にこのCD-Rを焼くことはできないと思うけど、せめて同じ墓に入れて欲しいな、なんてことを思った。
それから、昔通勤に使っていた道を歩いて帰途に就き、今後の仕事のことを考えた。他の職業の可能性と……それから、10日後に締切のある小説をどうするのか。これは引き受けた以上絶対にやり遂げなければならない。もし、この小説を書き終えた時点でまだ同じ気持ちだったら、転職を考えよう。家に着いたのは6時。涙が止まらないので、強めの安定剤を飲んでもう一度眠った。
昼頃に目覚めた。虚無。
午後、なんとなく立川へ行って、ブルースハープ(FとAの2本)とドラムのスティック(また始めるので)、それからPSPのゲームソフト数本、最後に服を購入(いつも行く店でいつも担当してくださる方が退社されていて、寂しかった)。帰りのバスの中で、色々なことを考えた。もっとも悲しみが顕れるのは、こうして何もしていないときだということを知った。適当なパスらしきものを見せて降りようとするおばさんが、運転手にそれを指摘され逆ギレしているのを見て、やっぱり俺の考えは間違っているのかな、と思った。
夜、買ってきたスティックで枕を叩きながら、買い溜めてある酒を飲み……アニメを見る気にはなれなかったので、映画を見た。「2001年宇宙の旅」。なんだこりゃ……全編、狂気しか感じられなかったけど。他に強いて言うなら、畏怖と絶望とかそんなん(狂気に通じるよね)。つーかゲテモノという言葉以外にどう評価すればいいのやら。これを面白いという人がほんとに多いなら映画界も捨てたもんじゃないと思うが、もしかして、この作品よりずっと前に芸術としての映画の歴史は終わっているのか? それならそれで、納得。もしくは、これが最初?
そして「時計仕掛けのオレンジ」。ここでいきなりエンタテイメントだ。そして、これこそSF。テーマは、「好きという感情と嫌いという感情は本質的に矛盾しない」だろうか。これってオタクの原点だよね。あとは、まあ、凡庸な感想で申し訳ないけど、言葉が面白かった。この作品で一番凄いのは、タイトルだと思う。(原作ものなので映画の評価ではないが)
以上、3部作の中で一番尖っているのは確かに「博士の異常な愛情」で、ひとつ好きになれと言われたら同作を選ぶ。