Superb Garbages 2

千野純一(chinorin)のはてなダイアリーの続きです。

プログラマブルユニジャンクショントランジスタと3回唱えよ

・くそー、PLCも面白そうだなあ。ネット回線を電源プラグから逆流させるPower Line CommunicationではなくてPlogrammable Logic Controllerの方。ラダー図とかシーケンス制御とかの。

・PLCを扱うときは、またラダー言語っていうプログラム言語ともハードウェア記述言語とも違う新たなやつが登場して、ハシゴ状の回路図みたいなのにリレーを設置して各要素を関連付けていくようなことをする。

・ちょうど自己保持回路(リレーによって繋がった導線から再帰させた電流で自身をオンにし続けるような仕組み)を考えてたところでそれを見かけて、前にもちょっと関連資料を読んだことはあったんだけど、ラダー図自体がいかにも自己保持回路を作るための仕組みみたいな感じでね。ちょー簡単に記述できる。

・一方、自分はプログラマブルユニジャンクショントランジスタを使った自己保持的な回路の実験をした。検索しても全然出てこないが、仕組み自体はプログラマブルユニジャンクショントランジスタ1個しか使わないのでちょー簡単なんですわあ。

正解

・これだけ。*1 とにかくオルタネート*2 ではない普通のプッシュボタンとかをポンと押すだけで電源が入って、別のプッシュボタン(こちらはB接点*3)を押すと電源が切れる、という仕組みが作りたかった。

・普通これを実現するには何らかの工夫、いわゆるとんちみたいなのが必要で、リレーやフォトカプラを使う場合は再帰しなきゃいけないし、普通のトランジスタでやるならPNP型とNPN型をひとつずつ使うのが最小構成らしいけど色んなところに抵抗を配置しなきゃいけなくて全体の部品点数としてはけっこうな数になってしまう。

・一方プログラマブルユニジャンクショントランジスタならこれだけでできてしまった。プログラマブルユニジャンクショントランジスタの最大の欠点は名前が長いことだと思う。

基礎基礎番外でちょっと言及したんだがもう一度説明しておくと、プログラマブルユニジャンクショントランジスタというのはトランジスタって名前なのに何故かダイオードの仲間ということになっている。ダイオードの記号から横にちょろっと出てるのが「ゲート」という端子で、ダイオード部分は普段は絶縁してるんだけど、ゲートに電圧を印加することでダイオード部分が導通、ゲートへの電圧の印加をやめてもダイオード部分の電流がゼロにならない限りは流れ続けることができる。ダイオード部分の電流がゼロになったら、またゲートに電圧を印加するまで再び電流が流れることができない、という部品。

プログラマブルユニジャンクショントランジスタを実際に扱うのは初めてだったんだけど、この記号、ゲートの端子がアノードの根元にカソードの方に向かって刺さってる感じじゃない? だから普通にプラス電圧で押し込むのかなあと思って、最初はこのように組んだ。負荷の部分に抵抗入りLEDだけ置いて。

不正解

・ONのボタンを押してもウンともスンとも言わずおかしいなあと思って色々組み替えてたら、何故かゲート→LED→GNDと繋いでもLEDが光る。もしやと思ってゲートから0Vで引っ張ってみたらビンゴですよ。ゲートに印可するべきなのはマイナス電圧でした。わかりにくいでしょこれ⋯。

・そもそもプログラマブルユニジャンクショントランジスタってわりとレガシィな部品らしくて、昔よく使われてたらしいんだけど今はもうあんまり作られてないんだってね。でも代替部品ってあるのかな。まあサイリスタでいいのか。サイリスタも使ったことないけど。

・で、サイリスタはどうなんだ? ゲートがプログラマブルユニジャンクショントランジスタの逆側についてるってことはプラス電圧なんか? 調べてたらWikipediaに等価回路が載ってた。

・⋯⋯うん、プラスだな。

・っていうかこれ、上で言ってる「普通のトランジスタでやるならPNP型とNPN型をひとつずつ使う」ってやつそのまんまではありませんか。変なの。やっぱりサイリスタも自己保持回路を作りたかったのか?

・2023年7月5日追記:ChatGPT先生と話しててやっっっっとプログラマブルユニジャンクショントランジスタの正しい動作がわかった。アノード電圧がゲート電圧を上回ると導通、あとはゲート電圧が「特定の電圧」(PUTのスペックによる。例えば2N6027なら0.7V)を下回ると非導通に戻るとのことで、ちょうどトライアックの一方通行版みたいな感じ。でもHIGHとLOWしか存在しないデジタル回路で使うならどのみちゲートがLOWで導通という動作をするはずだ。あまりデジタル回路で使うようなものではないみたいだが。w

*1:ゲート~ONボタンの先は、負荷より下に繋ぐべきかもしれない。しかしそれだと、そこに繋ぐまえに抵抗を設置する必要があるかもしれない。ええいめんどくさい、ということでこうした。まー実際誤差範囲っしょ、たぶん⋯。あるいは例によってシンク電源(負荷をプログラマブルユニジャンクショントランジスタの上側に設置する)でやるべきかもしれないが、負荷の具合によって電流がゼロになる可能性は全くないのだろうか? よくわからん。

*2:オルタネート:「ロックつき」と呼ばれることもある。一度押し込むと導通したままになり、もう一度押すと絶縁するスイッチの仕組み。対して、押してる間だけ繋がって手を放すと切れる(あるいは押してる間だけ絶縁で手を放すと導通)みたいなのは「モメンタリ」と呼ぶ。

*3:B接点:何も操作しない状態が導通つまりノーマリークローズで、スイッチをオンにすると(ボタンの場合は手で押すと)絶縁するような仕組み。ちなみにA接点というのはその逆のノーマリーオープンな普通のスイッチ。C接点というのもあって、A接点もB接点も両方使えるスイッチの仕組みのことを言う。「2 極」のON-ONスイッチはつまりC接点でもある。